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知財コラム

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中国会はっぴょん 知財コラム

「年が改まっても」

2024.01.15

弁理士の試験勉強を行っていた頃、一つの文が長い条文を理解するのに苦労しました。文を分解して掛り方を整理してやっと「そういうことか」にたどり着く、の繰り返しです(例えば不正競争防止法 2 条 1 項 17 号など、何書いてるのか読んだだけでは理解できないです)。逐条解説というものがまた読み辛い文の連続でした。「~ものである」がくどいし、「~ことは言うまでもない」って、いや言ってるし、と内心で文句たらたら。
2023 年に、知的財産権に関する侵害訴訟について弁理士対象の詳細な研修を受ける機会を得、条文が長い特許法 102 条 1 項と格闘する羽目になりました。加えて、侵害訴訟の判決文で示される判断基準(規範)も文がやたらに長く、読むのはもはや修行の領域でした。もっとも、判決文は悪文のチャンピオンと『悪文(岩淵 悦太郎編著)』で古くから指摘されていたりします。
条文や判決文の長さは何なんだ、と思いつつ、自身(弁理士)の仕事も基本的には文章ベースです。特許出願の明細書も審査や審判で提出する意見書も、誤解や誤読がされないように、主張したいことを整理して、証拠に基づく正しい論理構成で文章で伝えきる必要があります。厳密さを保ちつつも分かりやすい文を書こう、と言うのは簡単だけれど本当に難しいです。これは新年の抱負に限らず、いつも目指すことですね。読む人にこの文章で伝わるだろうか、を心に留めて。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

日本弁理士会中国会 弁理士 津田 智康