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「共同出願」

2022.10.19

特許や商標等の出願は、複数の出願人による共同出願とすることができます。例えば、2人の発明者がアイデアを持ち寄って1つの発明を完成させた場合には、それら2人の共同出願とするのが妥当であることが多いでしょう。
ところが、例えば、A社が単独で発明を完成させたが、その発明品の製造販売をB社と共同で行うから、A社とB社との共同出願で特許出願をしたいというケースがあります。このようなケースでは、ちょっと考え直した方がよい場合もあります。
というのも、共同出願を行った結果、特許権が2社以上の共有となった場合には、様々な制約が課されるからです。例えば、特許権の各共有者は、他の共有者全員の同意を得なければ、特許権のうち自己の持分を譲渡することも、自己の持分に基づいて特許権を他者にライセンスすることもできません。
また、各共有者は、原則として他の共有者の同意を得なくても特許発明の実施をすることができるため、上記のケースだと、実際には発明に寄与していないB社が、A社が発明した特許発明を自由に実施できることになってしまいます(ただし、これについては契約で制限することが可能です。)
このように、色々と気を付けるべき点があるため、共同出願は慎重に行うことをおすすめします。上記のケースであれば、特許出願はA社が単独で行い、得られた特許権をB社にライセンスするというやり方でもビジネス上問題ないのであれば、そうした方がA社側のリスクを小さくできるでしょう。

(日本弁理士会中国会 弁理士 K.Y)