知財コラム

「みうらじゅん氏の『ない仕事』の作り方」

企業を経営するのであれば競争相手の少ない市場を選べと経営学者は言います。しかし、利益が見込める市場には敏感な企業が殺到するので、そもそもオイシイ市場を発見することは困難だ、とも指摘されています。
ではどうすればよいか?全く新しい市場を自ら作り育てるしかない、ということになります。そんなお手本はあるのでしょうか?
新しい市場を次々と作る第一人者として思い浮かぶのが、みうらじゅん氏です。みうら氏は「仏像ブーム」、「奥村チヨの再評価」などの仕掛け人として知られていますが、とりわけ「ゆるキャラ」の名付け親として有名です。
みうら氏は、それまで誰も見向きもしなかった地方自治体の着ぐるみに、キャラを詰め込み過ぎて逆に焦点がゆるくなってしまったという「トゥーマッチ感」を感じました。そんな着ぐるみを「ゆるキャラ」と名付け、新しい視点での鑑賞方法を世間に提示したところ、それが受け入れられて「ゆるキャラ」は爆発的に広まりました。
新しい商品を開発して知的財産権を取得だけしても、市場の拡大や需要の喚起には不十分です。新しい商品であるならば、その味わい方を提示し伝えることこそが市場の創造であるということを、みうら氏の仕事の数々が教えてくれます。
※参考文献:みうらじゅん『「ない仕事」の作り方』文芸春秋 2015年

(日本弁理士会中国支部 弁理士 川角 栄二)

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