知財コラム

「寿司にも意匠」

先日、いわゆるグルメ芸人が街角で一般の主婦に声をかけて、そのまま北海道へのグルメツアーを催行するというテレビ番組が放映されていました。
一行が札幌にあるお寿司屋さんに入り注文して職人が握った寿司は、寿司飯の上に海老が円く巻かれていて、さらにその上には海老の卵が載っているというものでした。一行がその寿司を大絶賛した後、何とその寿司が意匠登録されているという紹介がありました。調べてみると確かに意匠登録第1531405号として登録されており意匠権が発生しています。
意匠権は「物品の美的外観」を保護するための権利で、特許権や実用新案権の内容が文章で規定されるのに対し、意匠権は物品の外観を特定できる図面や写真、見本などで規定されます。そして、「物品」には文具や食器などの日用品から自動車や航空機などの大型の工業製品まで広く含まれ、今回の寿司のような食品も含まれています。
しかしながら、産業財産権や工業所有権とも呼ばれる意匠権で、食品のうち工場で大量生産される菓子やインスタントラーメンが保護されることは容易に理解できるのですが、寿司のようにひとりの職人が握って提供するような食品も保護されることに問題はないのでしょうか?
確かにそんな疑問も浮かびますし、実際意匠法でも意匠登録される要件として工業上利用できる意匠であることが規定されており、「工業的に」反復生産される必要があります。しかし、この「工業的に」の中には機械的な場合の他、手工業的な場合も含まれています。したがって、寿司の他に手作りのケーキや最中のような菓子でも創作性が認められれば意匠登録することができるのです。このメルマガをお読みの寿司職人や菓子職人の皆さん、新しい寿司や菓子を創作した際にはその唯一無二を維持するために意匠登録について検討してみてはいかがでしょうか?

(日本弁理士会中国支部 弁理士 I.H)

バックナンバー

知財コラムの一覧に戻る