知財コラム

「スポーツと知財」

多くのスポーツでは何かしらの道具(ギア)を使用しますが、時代とともに道具は進化しており、そこには知財が関わっています。競泳では、スピード社の水着「レーザーレーサー」を着用した選手が世界記録を連発したことがありました。 縫い目が水の抵抗になるため超音波溶着で水着を作製して縫い目をなくし、ほぼ全身を超軽量素材で強く締めつけて覆うことで、水の抵抗を極力低くするというものでした。進化した水着が出てきたため、体表面を水着が覆ってもよい範囲や 水着の素材などを制限するルールが導入されました。
マラソンでは、コースや天候の影響だけでなく、シューズの選択によっても記録が大きく変わってきます。フルマラソンの世界記録は2時間2分57秒ですが、今年、ナイキ社によりフルマラソン2時間切りを目指す「Breaking2」プロジェクトがイタリアのF1サーキットで行われました。リオ五輪の金メダリストのエリウド・キプチョゲが挑戦し、2時間0分25秒のすごい記録が出ました(非公認記録)。 このプロジェクトで開発されたシューズには、炭素繊維複合材料のプレートが搭載されており、軽量化しつつ反発力を高めることで、同じスピードで走った場合にナイキ社最速シューズと比較して力を4%セーブで きるそうです。このシューズには特許技術が関わっていますが、技術だけでなくトップアスリートとともに企業イメージを高める知財戦略はナイキ社が得意とするところですね。
シューズつながりですが、池井戸潤原作「陸王」がテレビドラマで放映されており、楽しみにしている方も多いのではと思います。老舗の足袋製造会社が、新規事業のランニングシューズ開発に会社の存続をかけて全力疾走していますが、ここにも特許技術が関わっています。陸王シューズのモデルがあるとかないとか話題になっていますが、陸王シューズを履いて走ってみたいものです。

(日本弁理士会中国支部 弁理士 伊藤 俊一郎)

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