知財コラム

「出願公開における公序良俗違反」

 出願公開については、明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容について、特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認める場合、当該事項・内容は特許公報に掲載されません(特許法64条2項但し書)。
 その公序良俗違反理由としては、具体的に、第三者に対する誹謗中傷、第三者のプライバシーに関する情報を不当に開示するもの、違法性の極めて高い手段を開示するもの、わいせつなものがあります。それらに加え、本願発明の技術的事項とは関係のない思想、写真、図画等を記載し、公開公報を自らの主張の開示手段として利用しようとしているものという違反理由(以下「本件理由」といいます。)があるのをご存じでしょうか。
 発明相談を受けていますと、相談者が自作した出願書類のチェックを依頼されることがしばしばあります。その相談者が事業者である場合は、その出願書類に、自己の発明に関する記載に加え、自己の事業の宣伝広告的な表現や、自己の商号・商標等が文章や図面に含まれている場合があります。例えば、発明品の外形図や画面表示図に自己の商号・商標等が付されたまま表されていたり、発明品により製造されたサンプル品の図に自己の商号・商標等が付されていたりする場合があります。そのような文章や図面は本件理由に該当するとして扱われる可能性があります。
 本件理由に該当するとして扱われると、その該当部分は出願公開時に公開されません。例えば、図3に公序良俗違反がある場合、同図に代えて、「この図は公序良俗違反のため不掲載とする」との文字が公開されてしまうのです。このように、出願公開における公序良俗違反の具体的な理由には、本件理由のようなものも含まれています。ご参考まで。

(日本弁理士会中国支部 弁理士 須田 英一)

バックナンバー

知財コラムの一覧に戻る