知財コラム

「特許出願のタイミング」

 現在のNHKの朝ドラはインスタントラーメンの発明者夫妻がモデルです。福子役の安藤サクラも萬平役の長谷川博己も、好きな実力派俳優なので毎日楽しみに観ています。この原稿を書いている時点では、太平洋戦争も終わったので、いつどのようにインスタントラーメンの発明が完成するのか、特許出願はするのか、弁理士としても興味津々です。
 「福子、これを食べてみてくれ。」「萬平さん、とても美味しいわ。」といった感じで二人が涙を流して発明完成、というようなことになると予想していますが、特許出願が可能になるタイミングはそれよりもう少し早い時期だと思います。
 食品は、化学やバイオといった技術分野と同様に、結果の予測が困難な分野とされています。「作ってみなきゃわからん」ということですね。そのため、食品関係の特許出願をするためには、具体的な実験結果が必要になる場合がほとんどです。これは、図面が書ければ後は理詰めで説明すればよい機械や電気などの技術分野と大きく異なる点です。
 実験によって効果を奏することが確認できれば、化学、バイオ、食品と言った技術分野の特許出願は可能となります。ただし、商品レベルの性能が要求される訳ではなく、従来の物よりも改善されている点がありさえすれば効果としては十分です。
 例えば、麺のコシを強くできる工夫で1件、喉越しを滑らかにできる工夫で1件、茹で時間が短縮できる工夫で1件、というように、細かい改良ごとに特許出願は可能です。
 「萬平さん、不味いけど、昨日のよりもマシよ。」「じゃあ、取りあえず弁理士に相談して1件特許出願しとくか。」という、ドラマ的には全然イケてない感じが、特許的には正解でしょう。
 商品レベルにならなければ、特許出願する意欲が湧かないという気持ちは理解できますが、特許出願は早い者勝ちですから、小さいレベルアップで迅速に出願することを検討してもよいかもしれませんね。

(日本弁理士会中国支部 弁理士 中務 茂樹)

バックナンバー

知財コラムの一覧に戻る