知財コラム

「特許異議申立制度」

現在の特許異議申立制度は平成27年4月に開始されてから約4年が経過しました。特許異議申立制度というのは、特許掲載公報発行日から6ヶ月以内であれば、特許庁がした特許査定に対して誰でも異議を申し立てることができる制度であり、異議申立がなされれば、特許庁は対象特許を維持するべきか、取り消すべきか審理します。この特許異議申立件数は、平成30年末時点で累計3900件を超えており、平均して年間1000件程度で推移しているようです。
特許異議申立の審理結果について見てみると、特許を維持すべきものと決定された件数は全体の約85%程度であるのに対し、取り消すべきものと決定された件数は全体の約11%程度です。つまり、特許異議申立をした者から見ると、成功率は約1割であり、低い値となっています。
この数字だけみると特許異議申立をすることの意味が低いように思えます。ところが、特許を維持すべきものと決定された件数(全体の約85%)のうち7割近く(全体の半分程度)は、訂正、すなわち権利範囲が変更されて維持されたものです。一般的に、訂正によって権利範囲を拡大することはできないので、結果的に権利範囲が縮小されたことになり、このことで特許異議申立の目的を達成できた場合も多くあるのではないでしょうか。
特許異議申立を行う際には、対象特許をむやみに潰そうとせずに、対象特許の権利範囲をどこまで縮小させることができればよいのか、専門家を交えて狙いをはっきりとさせ、そのための資料収集を行うとともに、理路整然としたロジックを検討すべきであると考えます。

(日本弁理士会中国会 弁理士 齋藤克也)

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