知財コラム

「公益著名商標に係る通常使用権の許諾について」

いきなりですが、商標権について他人にライセンス(通常使用権)を許諾することは可能でしょうか?
答えとしては「もちろん可能です」(商標法第 31 条第 1 項)となるのですが、改正前の商標法第 31 条第 1 項のもとでは少々注意が必要でした。
改正前の商標法第 31 条第 1 項では「ただし書」が存在していたため、国、地方公共団体又は大学といった公益団体等を表示する著名な商標(以下、「公益著名商標」という。)については通常使用権の許諾が認められていませんでした。
この「ただし書」の影響は意外と大きく、私が以前勤めていた国立大学でも、学章等の商標権についてライセンスを許諾することができず、対応に苦慮するケースが少なからずありました。その都度、この「ただし書」は産学連携にとって足かせだなぁ、大学のマーク等にもライセンスを認めて欲しいなぁと感じていました。
それが、先般の改正商標法(令和元年 5 月 27 日施行)において、上述した「ただし書」が削除され、公益著名商標に係るライセンスの許諾が可能になりました。
改正の経緯として「特に大学において、自主財源の確保、産学連携から生じた研究成果の周知及び大学のブランド・知名度の向上等を目的に、公益著名商標に係る商標権の通常使用権を事業者に許諾し、ブランド展開を積極的に行いたいとのニーズが高まっていました」との内容が特許庁 HP に掲載されていました(下記 URL 参照)。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/koeki_chomei.html
これを読んだときには、思わず「その通り!」と心の中で叫びました。

(日本弁理士会中国会 弁理士 泉 良裕)

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