「パテントコンテストのご紹介」
2025.08.20
その他
私は現在、日本弁理士会の知的財産支援センター・パテントコンテスト事業部に所属し、活動を行っています。本事業部は、毎年開催される「パテントコンテスト」(https://www.inpit.go.jp/patecon/)において、日本弁理士会の立場から同コンテストを支援する委員会です。
このコンテストは、文部科学省、特許庁、日本弁理士会、工業所有権情報・研修館(INPIT)が共催しており、全国の高校生、高専生、大学生、専修学校生、大学校生を対象として、優れた発明を広く募集しています。
本コンテストの最大の特長は、受賞者に対して弁理士が指導者として伴走し、特許出願から権利化までを無料で体験できる点にあります。世の中には数多くの発明コンテストがありますが、こうした知財実務のプロセスをリアルに経験できる機会は、他に類を見ません。学生が社会に出る前にこのような経験を積むことは、将来的に知財リテラシーに優れた人材を育成するうえで、極めて有意義な取り組みだと考えています。
ところで、このパテントコンテストには、毎年全国から多くの応募がありますが、比較的「地方からの応募が多い」という特徴があります。交通費等を主催者が負担して、受賞者を東京で開催される表彰式に招待する制度が、地方の高校生・大学生のモチベーションにつながっている面もあるようです。(表彰式では、選考委員長である吉野彰先生(ノーベル化学賞受賞者)と直接お話ししたり、記念撮影をしたりできる貴重な機会もあります。)
しかしながら、中国地方からの応募は依然として少ない状況です。「空白地帯」とまでは言いませんが、隣接する九州地方や四国地方と比べても明らかに応募数が伸び悩んでおり、私自身、パテントコンテスト事業部内では若干肩身の狭い思いをしているところです(汗)。
この知財コラムをご覧いただいている学生さんは少ないかもしれませんが、ぜひ周囲にいらっしゃる発明好きの学生さんに本コンテストをご紹介いただければ幸いです。一人でも多くの若者が、知財の世界に触れ、発明の楽しさや可能性に目を輝かせることを願っております。
日本弁理士会中国会 弁理士 黒住 智彦