「分割出願」
2025.09.10
特許
特許の分割出願は、出願時の特許明細書の内容から一部を切り出して新たに出願する手続であり、元の出願の出願日が分割出願の出願日となります。
この制度の強みは、権利範囲を状況に応じて変更できる点にあります。
一度特許権になると権利範囲が確定して動かせませんが、元の出願(特許権)の に分割出願が進行中であればそちらの権利範囲をどのように構成するかは未確定のまま残ります。そのため、元の出願を権利化して確実に押さえつつ、分割出願を利用して「権利範囲をいつでも動かせる状態」を維持することが可能です。
競合他社にとっては、自社製品が将来的に「当てに来られるかもしれない」という状況のため、大きな牽制となります。
単に特許出願があるというだけではなく、元の出願は特許権になった上で分割出願も泳いでいるというのは競合他社にとって非常に嫌なものです。
したがって、「特許査定になったら、とりあえず分割出願しておく」と決めている会社もあるくらいです。
費用や手続の負担は増えますが、競合他社への牽制力を考えると積極的に活用してもいいのではないでしょうか。
日本弁理士会中国会 弁理士 F.M.