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中国会はっぴょん 知財コラム

「わからないことに対応する難しさ」

2020.08.05

コロナウイルスの感染者が鳥取県でも急に増えてきています。コロナウイルスはまだまだわからないことが多いそうですね。わからないからこそ、対応に悩まされ、皆さんもより一層怖さを感じるのだろうと思います。
この「わからないことに対応する難しさ」については、何もコロナウイルスだけの話ではないよう思いました。
つい最近ある方から、新商品についての特許相談がありました。話を聞くとその商品自体が今までにない商品ということでした。確かに見たことも聞いたこともなかったのですが、念のためネット検索したところ、なんと同じコンセプトの商品が見つかりました。
ただし、コンセプトは同じですが実際の商品形状はかなり違うので、出願は十分できるだろうと思っていました。ところがその商品のサイトをよく見てみると、なんと特許出願済みの記載がありました。ただ、この段階でも出願内容さえわかれば、違いを明確にした上で出願すれば、相談者の製品を広くカバーできるだろ
うと思っていました。
しかし、その出願、実はつい最近出願されたようで、まだ内容が公開されていませんでした。こうなるとさあ大変です。商品は違っているのですが、その出願にはどこまでの内容が書かれているのかわかりません。仮に出願してもどこまでの権利範囲が狙えるのかは予想困難です。また、見つかった出願が特許になった場合の権利範囲も予想できません。そもそも無関係なのかもしれません。まさに「わからないこと(出願)に対応する難しさ」を実感しました。
「コロナウイルス 対 人類」。「わからない出願 対 相談者(&弁理士)」。この結果は…。
ところで「特許出願済み」の記載があると、とくにその内容がまだ公開されていないと弁理士を非常に悩ませることになります。出願人側からすると、まさに出願による効果の一つですね。

(日本弁理士会中国会 弁理士 中西 康裕)