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中国会はっぴょん 知財コラム

「恋愛ヲ特許スル?」

2016.11.02

「恋愛」に関する発明は成立するのでしょうか?
特許法では、発明を「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義していて、恋愛のような人間の精神活動は自然法則を利用したものとはいえず、それ自体は発明として成立しません。
しかしながら、最近、ある技術分野で恋愛についての発明が少しずつ特許出願されるようになりました。それは、バーチャルリアリティ(仮想現実)分野における恋愛シミュレーションゲームです。
恋愛シミュレーションゲームは、恋愛対象キャラクターの言動、表情が恋愛感情を数値化した属性によって制御され進行しますので、プレーヤーは恋愛感情を高めるイベントや会話を数多く展開する必要があります。しかも最近では複数の仮想ユーザー(ライバル)が登場して複雑化した競争も楽しむ(苦しむ?)ことができます。
恋愛シミュレーションに限らず、ゲームなどのソフトウェアは著作権のほか一定条件の下、発明として成立し特許権でも保護されています。この一定条件とは「ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されている」というものですが、抽象的でわかりにくいですね。
そこで、特許庁は審査の指針を示す審査基準のほかに、審査の際に考慮すべき留意事項や手続的事項をまとめた「特許・実用新案審査ハンドブック」を平成17年から公表しています。このハンドブックでは、どのような場合にこの一定条件を満足するかが事例を交えてわかりやすく解説されています。
そう言えば、今年の 9 月末にこのハンドブックに IoT(Internet of Things)関連技術に関する 12 事例が追加されました。特許制度は発明を奨励して産業の発達を促進するための制度であり、産業構造の進展や変化にいち早く対応する必要があります。
したがって、「特許・実用新案審査ハンドブック」は日本の産業が向う先を映す鏡といえるのかもしれません。

(日本弁理士会中国会 弁理士 I.H)