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「物まねはセーフ? 生成AIはアウト?」

2026.10.14

バラエティー番組で、芸人さんが有名人の声や話し方をまねると、スタジオがどっと笑いに包まれることがあります。時には本人以上に本人らしく見えるほど です。その「声」について、最近、知財の世界で注目される判決が出ました。


生成AIで声優の津田健次郎さんの声をまねたとされるTikTok動画をめぐる裁 判で、東京地裁は9月30日、「声」がパブリシティ権の保護対象になり得るとの 考え方を示しました。パブリシティ権は、人の氏名や肖像などが持つ「人を引きつける力」(顧客吸引力)を、本人が排他的に利用できる権利です。法律に明文 の規定はなく、ピンク・レディー事件の最高裁判決で初めて正面から認められました。


実は、声そのものは現行の著作権法では守られません。著作権が保護するのは 思想や感情を創作的に「表現」したものであり、声質は表現したものではないからです。

では、芸人さんの物まねや声まねも危ないのでしょうか。法務省が8月に公表した「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」の取りま とめ報告書では、物まねや声まねは、本人の肖像や声等を連想させるものではあるものの、通常は芸をする者自身の氏名や芸名等を明示して行われており、本人の「肖像等」には当たらないことなどから、パブリシティ権の侵害に該当しないものと解されるとの見解が示されています。一方、芸をする者自身の氏名等を明示せずに、顧客吸引力を有する本人の声等と類似するものを使用し、本人を示すものと誤解されるような場合には、パブリシティ権侵害となる余地があるとされています。生成AIで作った声を、本人のように装って広告や収益化に使う場合も 同様です。


物まねや声まねは「似ているけれど本人ではない」と分かるからこそ笑えます。 ワールドカップ解説でも注目を集めた元日本代表選手の物まねは、何度見てもつ い笑ってしまいます。


日本弁理士会中国会 弁理士 伊藤 俊一郎