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「『特許破りの女王 弁理士・大鳳未来』のご紹介」

2022.08.17

今年度の「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した「特許破りの女王 弁理士・大鳳未来」という小説をご存じでしょうか?題名から想像できる通り、ズバリ特許をネタにした小説ですので、今年1月の発売からやや時間が経ちましたが、今回このコラムでご紹介させていただきます。
物語のざっくりしたあらすじは、絶大な人気を誇る Vtuber(CG のキャラクターを使用して動画配信する Youtuber のこと)天の川トリィに対して特許侵害の疑いがかけられ、動画配信が継続できなくなる絶体絶命のピンチにあったところを、「特許破りの女王」の異名を持つ弁理士・大鳳未来がその知識・スキル・人脈を存分に駆使して見事に救う、というものです。
動画配信業界、知財業界に関連する多彩な人物が登場して、楽しく読める物語になっています。そんな中、特許権の下では超人的存在の Vtuber であっても普通の人と同様に服従しなければならない、という特許の絶対的な存在感に面白みが感じられました。また、物語では特許権という刃が天の川トリィに向けられますが、その背景に企業同士の謀略があることも見逃せません。そしてミステリー小説らしく、弁理士・大鳳未来がその謀略の謎を解いていくのですが、ただ、その謎解きの鍵となるのが、ゴリゴリに特許法の規程となっています。そのため、特許法に詳しくないと置いてけぼりを食らうことになりかねませんが、このメルマガをお読みの方であれば、謎解きの醍醐味を十分に味わうことができると思います。
この物語は弁理士が主人公ですが、著者の南原詠氏も現役の弁理士です。弁理士の認知度向上を望む立場からすると、この本が(もっと)売れて、続編が出版され、アニメ化され、あわよくば月9でドラマ化されることを、期待せずにはいられません。

(日本弁理士会中国会 弁理士 川角 栄二)